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『また1人でいるし』


『…あまねくん』



中庭の端、暗ったるい倉庫裏。

ひとりの少女が毎日弁当を開けている場所。



『別に良くない?教室で食べたって』


『…私と食べると、美味しくないんですって』


『なにそれ。くだらないこと言うね』



眼鏡をかけて、三つ編み。

時代背景が昭和な立花 彩という女は俺とは違うクラス。

だけどいじめられっ子として有名だからこそ、名前を覚えてしまった。



『なら俺の教室くる?一緒に食べよーよ』


『…そうするとあまねくんが嫌われちゃいますから』



そんなの別にどうだっていいのに。

困ったように眉を八の字にさせて、立花は俺へと微笑みかけてくれるようになった。


最初はぜんぜん笑ってなんかくれなくて無愛想でクール気取ってて、『だからいじめられるんだよ』なんていじわる言った俺に。


『そうかもしれないです』って淡々と答えた立花。