鮮やかなオレンジ色に染まる空。

誰もいない廊下の校舎をバタバタ走る音だけが響いていた。


私は、倉科天音。肩まである黒髪に紺色のブレザーを着ている、ごく普通の高校2年生。


今は教室に置き忘れたスマホを急いで取りに行ってるんだけど、下校時間が迫ってるから焦ってるの。

もー、何やってんの私!

早く家に帰って充電したいから全速力で向かう。
鍵を掛けられて、出られなくなったら大変だ。急げ、もう少し!


ドンッ

「きゃっ……!」

「うわっ!?」


すると、曲がり角を曲がったところで誰かと勢いよくぶつかってしまった。ぶつかった衝撃で体が弾かれ、後ろに倒れそうになる。

あ、ヤバい!絶対痛いやつだ。