「いつもこんなに早起きなの?」

「はい、侍女を務めてましたので」

「侍女って大変そうだな。お嬢様のお付き添いだろ?ワガママ聞いてやったりとか」

「いえ、伽藍様は心優しい御方ですから」



食卓を挟んで向かいに座り、香りの良い紅茶を口にしながら、私たちは他愛もない会話を続けていた。

ふと、銀太さんの手元が視界に入る。男らしいゴツゴツとした指にいくつも嵌められた指輪だ。

……昨日、これが武器に変化し、幌馬車を粉々に吹っ飛ばしてしまったのだ。

『魔金属』?そんなもの、この世界では見たことがない。異世界にしかないものなんだろうか。



そんなところから、私は先程の衝撃を疑問にして問う。



「そ、その……石板は何なのですか?」

「ん?石板?」

「お兄様のお顔が映ってらして、会話をされていた……」



私が気になってしまったのは……その、表面がツルツルした人の顔を映し、会話の出来る石板だった。



「あ、ああ。これ?液晶画面のことか?石板って……これはウチの世界で作られた通信機。特殊な電波を飛ばして画面越しに対話出来るんだ。これは異世界でも使えるように改良したやつ」