(……あら)



小鳥の囀りが聞こえて、ふと顔を上げた。

この庭園に小鳥がやってくるのは珍しい。翼をはためかせて飛び立つ際に、小鳥の小さな白い羽根がフワッと風に乗る。

その光景に、思わず顔が綻んでしまった。



(白い羽根、か……)



私は今、庭園の四阿にいる。

竜王様の住まい、竜王領の要である【水晶竜宮】の庭園。呼び出しを受けたが、時間より早くに到着してしまった。

なので、本日のこの日の為に送られてきた、数通の手紙を開いていたところだ。




私が竜王領に身を移してから、約一年半。

神術士の養成所にて修行を始めてから、ちょうど一年の歳月が経った。



竜王領の神術士養成所とは、他王領の術士団や兵団で個人的に修行を受ける様式とは違って、ある程度の人員を集めてから決められた年月を設定して、集団で学ぶ。

人間界では『学校』といわれている様式らしく、共に学ぶ仲間がいることで団結力を高めたり、助け合ったり。学びの相乗効果が期待されるらしい。

……これは、人間界を出入りしている竜樹様の案だそうだ。