あの物々しい大きな異次元移動飛行船の周りでは、軍人がバタバタと準備に行き交っていたのも、束の間。

一人、また一人、飛行船の中に入っていき、次第に人の数が減っていく。辺りも少しずつ静まってきた。

空気でわかる。準備が着々と進んで終わりつつあることを。



「隊長、間もなく出立準備完了します!」

「了解、ご苦労」



……ああ、もう行ってしまうんだ。



言付けにきた軍人も、飛行船の中に入ってしまい、目の前に残されたのは、聖威と翼と銀太さんの、共に戦った三人。

あの隊長さんが少し離れたところにいる。

もう、別れの時だ。





「舞空、世話になったな」



私の目の前には、お揃いの軍服を着た三人が並んでいる。

こうして見ると……手の届かないところにいってしまうんだと思ってしまった。昨日までは確かに、日常の暮らしを共にしていたはずなのに。

料理や洗濯、掃除。初めて出会った時の衝撃や、一緒に剣術大会に乗り込んだことから、日常の些細な会話まで。

短い間のはずなのに、凝縮された日々の思い出が私の頭を通り過ぎた。



「……ううん、私の方こそ。三人が助けてくれなかったら、今ここには居なかったよ」