聖威の選んだ『覚悟』とは。

架威にとっては、最も非情で残酷なものだった。

あんなに魅せられていた『聖域』が、自分の命を脅かすものとなるのだから。





『……【三宝荒神】!』



聖威の手元にある星宿権杖からは、大きく強い光が放たれ、私たちの視界を一瞬にして真っ白にした。

目を開けていられず、反射的に目を伏せる。

同時に、魔獣らの悍ましく耳障りな奇声が、あちらこちらに響いて聞こえてきた。

何が起こっているのか……わからない。



だが、光が落ち着いて、恐る恐る目を開けてみると。

そこに広がる光景に、自分の目を疑うほど驚かされる。



(こ、これは……!)



大広間を占領するかのようにひしめく魔獣が、半分ほど姿を消していた。跡形もなく。

残っているのは、人型魔族や身体の大きい魔獣のみで。それでも、奇声をあげながら、大きな身体をゴロゴロと転がし、地にのたうち回っている魔獣が何匹かいた。

まるで、痛みに藻掻くかのように。



「恐らく、『聖域』の力に当てられたんだよ」



隣にいる天王様が、呟く。



「……『聖域』の扉が、少し開いたんだ」