……私らの様子を見て、聖威が吹っ飛ばされたのを見て、慌てて飛んできたのだろう。

そんな翼の横顔は、いつものふざけてヘラヘラしている表情ではない。

架威を睨み付けた、怒りの表情だった。



振り下ろした刃をそのままググッと力で押しつけながら、翼は背後にいる私に叫び掛ける。



「……舞空!取り急ぎ、聖威を回復してやってくれ!」

「えっ?」

「今のであいつ、魔力を当てられて動けないはずだ!……早く!」

「わ、わかった!」



何を考える間もなく、翼の指示に従い、私は再び聖威のもとへと駆け出す。

この魔獣の量を相手に、戦力がひとつでも欠けるのは痛い。

回復……そうだ。

私にもやれることが、まだある。



吹っ飛ばされた聖威は、少し離れたところで倒れていた。

だが、ピクリとも動いていない。

「聖威!」

呼びかけて、肩を激しく揺する。

しかし、予想の通り、返答はない。

顔色が悪く、グッタリとしていることから、当てられた魔力の量が多過ぎたのだ。

確かにあの大きさの魔力だ。死んでないだけまだマシかもしれない。