……しかし、これで終わりじゃないのは、重々承知のことで。



「あーのーなぁー。……おまえらぁぁっ!」



私が目覚めて、しばらくしてから、竜樹様がここにやってきた。

お連れの士黄様を伴い、お怒り丸出しで。



無理もない。

特級犯罪人・架威の正体を暴くためとはいえ、対峙したことで、闘技場の外で騒ぎを起こしてしまったのだ。

翼の話によると……主だった人達が駆けつけたことに気付くと、架威は急に戦闘を放棄して、韋駄天様の姿に戻った。

そして、何もなかったかのようにその場を去っていったのだ。

ずっと辺りを見張ってその場を見届けていた銀太さんによると、その隙に翼も素早く逃げたので、駆け付けた人達には姿を見られていないらしい。

駆け付けた人達が目にした光景とは、辺りには戦闘の痕跡はあるものの、騒ぎを起こした本人たちはおらず……木の陰には羅沙姫が倒れていた。

という、状況だった。



結局、みんな何が起こったのかはわからずだったそうだが……事情を知っているこの人が気付かないわけがない。



「あれほど騒ぎを起こすなと厳重に注意したのに、何やってんだよ!」



お怒りです、竜樹様。