波乱のちびっこ剣術大会も、決勝戦を終えて御開きとなった。

未来の戦士の勇姿を見に来た観客たちは帰路につき、会場内は少しずつ人数が少なくなっていく。

だが、決勝戦の会場となった試合場の周りには、まだ人集りがあった。

今大会の優勝者である天子様が、敗者の羅沙姫の下へと足を運んでいたのだった。



「おい、おまえ。女のくせにめちゃんこ強いな?」

「……」

羅沙姫は警戒しているのか、母君の腕から離れようとせず、無言でじっと天子様を凝視する。

だが、そんな態度を取られてもお構いなく、天子様は羅沙姫へと気さくに手を差し出したのである。

「俺、強いヤツ好きだぞ。友達になろーぜ!」

「……」

握手を求めているその手を、羅沙姫はじっと見つめていた。

人見知りなんだろうか。

だが、なかなか手を重ねてくれないことに痺れを切らしたのか、天子様は羅沙姫の手を無理矢理取って、勝手に握手する。

「ちょ、ちょ……」

「イェー!俺たちこれでもうともだちー!おまえ、ウチでメシ食ってけよ!めちゃんこ美味い肉料理食わしたる!ハンバーグ知ってるか?なぁ?」

「し、しってる……」