「……うーんと。この世代だったら天子様の他に、武官の宮毘羅様の御令息かな?」




ーーそう言い掛けた時。

もうひとつの試合場から、どよめきが混じった歓声が上がった。



「何だなんだ?」

「何が起こった。行ってみよう」



会場が突如騒つくという異変を感じて、私達は隣の試合場へと足を運んだ。

試合場を取り囲む観客の驚愕で目を見開いた表情から、只事ではないことを感じたのだ。

ピリッとした空気が肌を掠めてゾワッとするという感覚に自分でも驚く。

(な、何……?)



試合場の上は、目を疑う光景となっていた。



「ど、どういうこと……?」

「あんな、小さな子が……!」



観客のどよめきもわかる。私も目にして驚いた。

隣の試合場では、今話に出ていた宮毘羅様の御令息と、剣を交えるは……女の子?!

歳の割には体の大きな宮毘羅様の御令息よりも小柄で華奢な体の女の子が、自分の背丈ほどある大剣を両手で握っている。

大柄の剣士が使うような重量のある大剣で、御令息の一撃を軽々と受け止め、鈍い音と火花が散った。……観客が驚いたのはその様だろう。