ケータイ小説 野いちご

冴えない私の変身計画~浮気男に一泡吹かせてやろうじゃないの!!

変身

 
   

  *




 月曜日の朝。

 オフィスのエントランスがざわめきだした。

「おい、誰だよあれ。うちの制服着てるんだから社員だよな?」

「すっげー美人!!スタイルいい」

「出向とかかな?どこの部署だ?」

 美女は颯爽とその場を後にして、エレベーター前でエレベーターを待つ相原部長の元へと急いだ。

「部長!!おはようございます」

 ぺこりと頭を下げる美女に蒼士は一瞬たじろいだ。目の前で頭をさげる人物が誰なのかわからない。

 美女が頭を上げると、にこりと微笑み蒼士を見つめた。

「あのーー、土屋です。土屋沙菜です」

「………………へ?」

 長い間の後、間抜けな蒼士の声に沙菜は笑みを見せる。

「お休みありがとうございました。五日間で自分磨き頑張ってみたんですが……どうですか?」

 上目遣いで見つめてくる沙菜の姿に蒼士はもう一度たじろぐと、一歩後ろへと下がった。

「うぐっ……」

 蒼士は右手の甲でワナワナと震える口元を隠すように押さえた。





 そう、沙菜はこの五日間で大変身を遂げていた。

 有休一日目の水曜日、早速美容院への予約を入れる。有名店は予約が取れないと思ったのだが、ラッキーなことに予約のキャンセルがあり予約が成功する。予約が取れたのは休みの最終日の日曜日だ。

 美容院の予約ができた沙菜はコンタクトレンズの購入に急ぐ。目の診察も済ませコンタクトを購入するとその場で久しぶりのコンタクトを付けた。眼鏡と違い視界が開けたような気がした。

 喫茶店で軽くお昼を済ませるとその足で化粧品を購入するため化粧品売り場へ、沙菜の肌に合うファンデーションやチーク、口紅、アイシャドウを店員の進めるままに購入し、化粧の仕方のレクチャーを受ける。かなりの額を購入したため日曜日まで毎日化粧のレクチャーを受けられるよう店員と話をつけた沙菜は上機嫌だった。

 その帰り道……エステの文字が目に飛び込んでくる。

 エステか……いままで生きてきてエステに行ったことがなかったけど、この際徹底的にやってやろうと、エステと書かれたビルの自動ドアをくぐりぬけていた。

 幸いなことに、樹は最低な男だったが、沙菜からお金をせびるような真似はしなかった。そのため今まで貯めたお金がかなりの額あった。このお金、今使わずしていつ使う。

 沙菜はエステ店の受付で五日間のスペシャルコースをお願いした。






 月曜日の朝、姿見の前で全身のチェックをする沙菜。
 
 自分で言うのもなんだけど。いい感じに変われたと思う。

 思ったより制服のタイトスカートが似合っている。今までは体系を気にしてスラックスを穿いていた。

 今が変え時だ。

 最近残業続きで、食事がエネルギー系ゼリー飲料だけという日が続いたためか、幸か不幸か体系に変化が出ていた。いつの間にかポッコリお腹は綺麗にくびれ、頬や顎は綺麗なラインを見せていた。胸は元々大きめだったが、それはそのままだ。


 昨日エステのスペシャルコースを終え予約した美容院へ向かい、ただ伸ばしていただけの髪にはさみを入れてもらい、トリートメントでつやっつやにしてもらった。外に出ると沙菜のロングの髪がサラサラと艶めきながら風にゆれた。

 
 髪もサラサラばっちりね!!

 さあ行くわよ。

 何処へって?

 もちろん会社ですっよ。 


 

 
 樹……見ていなさい。

 一泡吹かせてやるんだから!!





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