「おはようございまーす」

都心の25階建てオフィスビルの18階から20階に、ウィローホテル本社は入っている。

私はウィローホテルの営業事務として働いている。
ちなみに真帆は経理課だ。

入り口のハンガーラックにコートを掛け、挨拶を交わしながら自分のデスクにつく。

すると頭にずっしり掛かる人の重み。

「緒原おはよー」

「…千葉先輩、おはようございます!
…あの、先輩、毎朝それやられると、私確実に背縮む気がしてならないんですけど」

「ははっ!ごめんごめん、緒原見るとつい、ね」

「ついってなんですか、ついって」

千葉 暁人(チバ アキト)先輩は私の1個上で、営業担当。

ダークブラウンのツーブロックの髪型がアクティブな千葉先輩にぴったりで、くりっくりの二重の瞳には人懐っこさが滲む。

笑うとえくぼが出来て、それがまた可愛い〜!と、女子社員からは絶大な人気を誇る。