綺麗な歌声が、館の中に響く。聞くだけで気分が上がりそうな明るい声を出しながら、彼女はくるりと回った。ふわりと彼女の肩辺りまで伸びた金髪が揺れる。

「……シャイン、私が歌ってない時は歌わないで」

ドアが開いて、黒髪のショートカットに青い目の女性が姿を現した。パッと見ただけでは、男の子と間違えそうな見た目をしている。

「楽しいよ?ほら、ノワールも歌おう……」

「歌わない……」

金髪の女性――シャインは、黒髪の女性――ノワールの言葉に「ええ!?」と驚くが、ノワールはうるさい、と言いたげにシャインを見つめた。

シャインとノワールは、双子だ。容姿や性格は違うが、2人には共通した力を持っている。

それは……歌うことで暴れるものを鎮めることが出来る力だ。

しかし、シャインは歌うと気分を上げすぎてしまい、ノワールは気分を下げすぎてしまうため、シャインとノワールが2人で歌わないと心を落ち着かすことが出来ないのだ。

「……」

しばらくシャインを見つめていたノワールは、呆れた顔をする。

「……はぁ……仕方ない。せっかくだし、外に歌いに行こう……」

シャインは「本当に!?」と、ノワールを見つめた。ノワールは「1回だけだよ」とシャインを見る。

シャインは「わーい!」と、元気よく笑った。