「夢みたいだな……」

歌い手ルーンこと、俺、音坂月斗(おとさかつきと)はボウッとしながらスマホのLINEを開ける。LINEの一番上にある宮谷琴葉(みやたにことは)の名前を見て頬が緩んでしまうんだ。

琴葉ちゃんは、俺がずっと恋をしている人気歌い手である桜ちゃんの本名だ。琴葉ちゃんの学校の学園祭に彼女の兄である宙(そら)と藤真冬(ふじまふゆ)と遊びに行った時、琴葉ちゃんとステージで歌ってそのまま告白しちゃったんだ。

琴葉ちゃんは顔を真っ赤にして、何も言えなくなっていた。優しい彼女のことだから、ここで頷けば大炎上、振ってしまったら俺を傷付けると思っていたんだと思う。

「とりあえず今は返事しなくていいよ。初対面だし、まずは友達から始めよ?」

真っ赤なままの琴葉ちゃんにそう言い、俺は彼女の連絡先を手に入れることに成功したんだ!あの時めちゃくちゃ嬉しくて、その後に宙や真冬にグチグチ何か言われたけど、何言われたのか忘れちゃった。