ケータイ小説 野いちご

赤王子VS黒王子、私が欲しくてたまらないらしい。

3章「全部ナシ」





それからの日々は順調に、滞りなく撮影が続いた。

在学中の学校が舞台ということもあり、制服が違うこと以外は馴れ親しんだ光景というのが本当に有難い。


冬放送のドラマとあって、夏に冬服はさすがに暑いけど……。

その過酷さはみんな同じ、文句なんて言っていられない。


全60話の内、今日撮影の台本は第6話。

前室として使われている教室で、マリナさんと次のシーンを確認し合っているとき。



「りか子、ちょっと来てくれる」

「……?」



どうしたんだろう。

深刻な顔をした真理さんが、私を呼んだ。


マリナさんに目配せすると、『いってら~』っていういつも通りの明るい声が向けられて、

笑顔で応え、私は教室を出た。



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