看護師をしているお母さんは夜勤だったり日勤だったりと忙しく過ごしていて、商社勤めの莉生のお父さんは出張が多かったりして、夜は莉生とふたりきりの日も多い。



夕飯の時間になり、莉生の絶品かつ丼を食べていると、お父さんとお母さんのふたりから、ほぼ同時に夕飯不要のメッセージが届いた。



「もったいないなー、こんなに美味しいかつ丼を食べ損ねるなんて。お母さんもお父さんも人生、損してるよっ!」




うちのお母さんが作っても、絶対にここまでしっとりサクサクに仕上がらないのに。



「そもそも、お前が食いたがったから作ったんだろ」



「これ、完璧だからねっ。玉ねぎの甘味は最高だし、タレは抜群に美味しいし、お肉は柔らかいし! これ、間違えなく世界一だよっ!」



「うん、お前、ほめ過ぎな」