冬馬が指定したお店の前に着き、走って乱れた息と髪を整えてから店内に入る。
 にこやかに声を掛けてくる店員に、連れがいるからと案内を断り辺りを見回す。
 すると、店の角席で一際大きく盛り上がる大学生たちがいた。その中に見覚えのある姿を見つけたので、その席に近寄り声を掛けた。

「冬馬?」
「お、来たか栄子〜」
「何々、冬馬の彼女来たの?」
「電話に呼ばれて来るなんて優しいな〜」