れ、玲くん、なにか勘違いしてるっ……。

そ、それにっ……ちょっと蹴っただけで、教室の壁、壊すっ……?

恐怖でいっぱいになって、逃げ出したくなったところをれんちゃんがまたぎゅっと後ろから抱きしめてくれる。

「……アイツ、本当にお前の婚約者なん?」

「うん……」

婚約してしまったことに、変わりはない、しっ……。

「ありえねぇ」

「ううっ……」

「ひゆちゃん……僕と恋(レン)でひゆちゃんのこと守るから、怯えないで」

蒼葉くんが優しい声でそんなことを言ってくれるものだから、嬉しくて、安心して、身体の力がゆっくりと抜けて涙腺が崩壊した。

「……ひゆ、こっちにおいで」