家に帰ってからも現実感がなくて、ベッドの上でボーっと天井を見上げていた。


今日会ったばかりの人と、明日デートをする。


そんな夢みたいは話ってあるんだろうか?


ためしに自分の頬をつねってみると、ちゃんと痛みを感じた。


ついでにスマホで明日の予定を確認すると、40分ほど前に交わされた約束が入力されている。


その予定を見ていると不思議な気分になってきた。


あたしは本当に明日デートをするのだ。


ついさっき会ったばかりの明久君と。


そして気が合えばメッセージ交換をして、それから付き合うことになる。


「ありえない……」


スマホを胸に抱きしめて呟いた。


とてもじゃないけれどありえない。


明日本当に明久くんは約束場所に来るんだろうか?


メッセージ交換ができないから、すべては口約束だ。


そんなに信用のないものに頼るなんて、心元なさ過ぎる。


あたしはギュッときつく目を閉じた。


なにはともあれ、明日とにかく約束場所へ行ってみよう。


来なければ来ないで忘れてしまえばいい。


もし本当に来たら……その時に考える!


あたしは自分にそう言い聞かせて、無理矢理眠りについたのだった。