翌日になると頬の腫れは目立たなくなっていて、あたしは久しぶりに朝食を食べてから学校へ行くことにした。


食べている間母親も父親もあたしのことを気にしていたけれど、なにも聞いてこなかった。


それが両親の優しさだとわかって、胸の奥が熱くなるのを感じた。


2人はいつか時間が経てば話してくれると思っているかもしれない。


だけど今回のことは誰にも知られるわけにはいかなかった。


もしかしたら、あたしは脅されて暴行に参加したということで罪には問われないかもしれない。


けれど美緒の存在が明るみに出ることは避けたかった。


あの状態で目を開けているとなると、世間でも注目されるに決まっている。


沈んだ気分で教室へ入ると、光が満面の笑みで待ち受けていた。


そんな光を見た瞬間違和感があった。


光ってこんな顔だっけ?


そう思ったとき「見て! 今朝目が覚めたらこんなに綺麗になってたの!」と言われた。


そうだ。


光の顔にはニキビがひとつもないのだ。


それところか、ニキビ痕も綺麗に消えている。


「まさか、それって……」


「昨日遊んだ帰りに絶対様に会いに行ったの」


そう言われて背筋がスッと寒くなった。


放課後、咲たちも廃墟へ行ったのだ。


もし鉢合わせしていたらと思うと、寒気がした。