「ひまり。ひまりってば!」


んー…


私は、ノック音と弾むような声に目を覚ました。

遠くにテレビの音とコーヒーの香りがする。


「入ってもいい?」


返事をする間もなく、蓮がドアを開けた。


「あっ、あの!」

「よく眠れたみたい。よかった!ははっ!」


蓮は大きな声で笑うと、カーテンを開けて、寝ている私に顔を寄せた。


「おいで。ご飯できたよ。食べよう。」

「ち…近いです。」


目の前の彫刻のような綺麗すぎる顔には
全然慣れそうにもない。


「ふふ、いいじゃん。お兄ちゃんが妹に近づいて、何が悪いの?おいで。」

蓮はそんな私の頭をポンとなでると
優しく囁いた。