片手に椅子を持った千治の姿を確認すると、モーセの海割りの如く道が出来上がった。一年がさっと脇に逸れる。

その後を遅く、高陵がついていく。

一年の教室の中央、机も椅子もぐちゃぐちゃになっている中、燐と女子が言い合い、掴み合っていた。

千治はそれを見て、予想通りだと瞬きを二度した。

「面白そうだな。混ぜてくれよ」

千治の声に、一瞬女子の気が逸れる。すかさず燐はその頬に裏拳を入れた。

「あと、ジャージ弁償しろ」

女は横に吹っ飛んだ。本当に終焉を迎えた。

燐は制服を整えて、破られたノートを丁度横に転がっていたゴミ箱に捨てる。