こうやって楽しそうに笑っているのを初めて見た。もしかしてレアなのかもしれない。

 暑いのが苦手なのも、見た目と相待って猫みたいで、少しだけ可愛い。



「水瀬くんて笑うんだね」
「笑うだろ」
「なんか、いつも同じ表情してる気がするよ」
「……確かにそうかも」



 水瀬くんは入学してからの自分のことを思い出したのか、ゆっくりと頷いた。

 そして、何を思ったのか少し屈んで私の顔を覗き込み、じっと見つめられる。ふわっと柔軟剤の爽やかな香りがして、胸がキュッとしてしまう。



「えっ……なにっ?」
「片山さんと会えて嬉しいから、テンション上がった」
「……それは、よかったです」
「これからも、俺の新しい一面発掘していいよ」
「発掘って」
「きっと、片山さんの前だけだから」
「っ!!」