(奏多side)



 ────4月、クラスでの自己紹介。



「片山凛子です。……小金沢中出身です。よろしくお願いします」



 すげぇ真っ赤。それが凛子への第一印象。





 寧ろ、凛子のことはその第一印象以外、認識していなかった。クラスメイトもそうだ。

 俺は小さな頃から何かに必死になったり誰かに執着したり、そんな経験がなかった。

 スポーツだって少し練習すればそれなりに出来るし、勉強だって飲み込みは良い方だと思う。だから何かに一生懸命になって達成するという喜びや、誰かと友情を育む経験もなかった。

 誰かに好きだと言われても、それに対してなんの感情も抱くことはなかったし、嬉しいとかもない。必要としてなかった。

 ────とにかく冷めてた。全てにおいて。

 

「(つまんねー)」