ふるりと身体が震えた。

 私は毎年行く花火大会の日に、奏多くんの彼女になるんだ。

 奏多くんが大切に予約して、育ててくれた気持ちを伝えられるんだ。

 もう今、この瞬間でさえ幸せなのに。私は奏多くんの彼女になったらどうなってしまうんだろう。きっと、怖いくらい幸せなはずだ。
 
 もう一度抱き寄せられ、ぎゅっと抱きしめられる。私もその背中にしがみ付き、心の中で気持ちを伝える。



「(奏多くん、好きだよ)」



 





 ────けど、花火大会の日、私が奏多くんと一緒に花火を見上げることは出来なかった。

 


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