「なに?」
「教科書……私の貸すよ。高田くんと陸くんはそんなに面識ないみたいだし」
「本人がそう言ってるからいいだろ?」
「高田のことは気にしなくていいから」
「いや気にしろよ!」
「えぇ〜……」



 ────バンッ!!

 もう収集がつかない。そう思った時、突然教室のドアが大きな音を立てて開いた。

 そこには怒りの表情の有菜ちゃんが。

 有菜ちゃんは奏多くんと陸くんの間を通り、高田くんのお尻に思い切り蹴りを入れる。鈍い音と共に高田くんはその場に倒れ込んだ。



「は?!イテェッ……!!なんなんだよ!」
「あんたが黙って教科書貸せば済む話なんだよ!」
「り、理不尽過ぎるだろ……」
「あんたらも凛子を困らせるな。ほら、戻るよ凛子」



 呆気に取られた男子達を残し、手を引かれ教室に戻り、元いた有菜ちゃんの隣の席を借りて座る。

 すると、有菜ちゃんは深い深い溜息を吐き、私の頭を撫でた。



「水瀬くん、幼馴染くんが現れてからめんどくさくなったね」
「……確かに」



 その後、教室に戻ってきた奏多くんはあからさまに不機嫌そうで、高田くんに至ってはすごく落ち込んでいた。



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