七月になり、すっかり暑くなった。
 学校の制服ももう半袖だ。むしろ半袖にしても、もう暑い。
 あと半月ほどしたら夏休みだから、それを楽しみに学校に通う日々である。
 学校のこともそうだが、美波が気になっていたこと。
 それは【スターライト ティーンズ】の七月号の発売日だった。
 例の、北斗の『デート特集』が載る号である。
 多分、いい気持ちにはならないだろうなと思ったので、美波はあずみ達と見るのはやめておいた。嫌な気持ちを見せてしまっては、あずみ達に悪いだろう。
 マイナスな気持ちを覚えてしまう理由なんて、わかりきっていた。
 聖羅が彼女役であるからだ。
 雑誌の中で、聖羅はただの彼女『役』でしかない。
 けれど多分、聖羅は北斗のことが好きなのだろうな、と美波は思っていた。
 そうでなければ、陸上大会にオシャレをして見にきたり、何度も『一緒に帰りたい』というようなことを言ったり、そして腕に抱きついたりもしないだろう。
 でもどうして自分がもやもやするのか。それは美波はよくわからなかった。
 だって北斗は幼なじみなのだ。
 付き合っているなどではないのだ。もやもやする理由がない。
 ……と、美波は思っていたのだけど。
 そのときの美波は自分の気持ちについて、ニブすぎたと言えるだろう。
 『付き合う』前にある気持ちのことが、頭からすっかり抜けていたのだから。
 そんな思考であったので、美波は『幼なじみで仲がいい北斗を、取られてしまうように感じるかな』と思っていた。
 それはともかく。
 【スターライト ティーンズ】の発売日。雑誌は電子書籍で買えた。
 お母さんが買ってくれるのだ。
 普通ならファッション雑誌なんて、おこづかいで買いなさい、と言われるものだろう。
 けれど北斗は幼なじみで、今、一緒に暮らしているのである。
 「お母さんも見てみたいわ」と言ってくれたので、買ってくれたのだ。つまり、お母さんが読みたいから買ってくれたと言っても間違いではない。
 そんなわけで、自宅の大きめのタブレットで美波は雑誌を読みはじめた。
 普段なら最初のページから順番に読んでいくし、楽しんで読むのだけど、今回ばかりはそうはいかない。
 目次を見て、例の『デート特集』。
 そのページを開いた。