「……なに、これ……どういうこと……」

いつもなら、目覚ましネコのルーに飛び乗られて目を覚ますところだけれど、今朝はずいぶん早い時間に目が覚めてしまった。再び眠れる気もせず、とりあえず布団を片付けたところで、どうにも水晶が気になってしまい、机の上に取り出してみた。その途端、私の意思とは関係なく、水晶が勝手に映像を見せてきたのだ。

10歳の誕生日に、父に買ってもらったこの水晶は、なぜだか重要な出来事がある時、勝手に映像を見せてくる。婚約破棄のこと、怪我を負ったジャレットのこと、アルフレッドがこの宿へ来ること。水晶が勝手に見せてきた未来は、どれも私の転機になっている。

これまで見せられた場面には、どれも驚かされ、動揺させられてきたけれど……今回のはその比じゃない。頭の中に語りかけるように、音まで響いてきた。


短時間にたたみかけるように見せられた映像を、もう一度思い返してみた。