「濡れてませんか? もう少し、こっちに来たほうがいいですよ」

「は、はい。ありがとうございます……先輩」


雨の中。
横を向くと、そこには私が濡れないように傘をさし、肩を寄せてくれる彼。


そう、私の彼氏です。


「あれ、星屑(ほしくず)さんだよな。隣にいるのってまさか……」

「その、まさかだよ。俺たちのシンデレラが、あの人と付き合うなんてな」


「……」


みんながウワサする中を歩いていくのは、なんだか複雑な気持ちになる。


何を隠そう私の彼氏は“堅物”と呼ばれる生徒会長。


何故、平凡な私がそんな会長と付き合うようになったのか。ことは入学した頃に遡(さかのぼ)る。