年明けから本格的に始まった就活は、想像を絶するほど大変だった。


特に希望職種が定まっていない、歌うこと以外に趣味も特技もない、自己分析や自己PRや将来設計なんて一番の苦手分野である私は、これでもかというほど厳しい現実を叩きつけられて、満開だった桜が緑に変わっていく頃には、早くも心が折れかけていた。


人生に少しでも余裕を持つためにとりあえず大学へ行っておこうと思っていただけで、将来について深く考えることもなくのらりくらりと大学生活を、いや人生の大半を過ごしてきたのだ。


そんな私に『学生時代に頑張ってきたことは?』『その経験から得たことは?』なんて聞かれても困る。


インターンシップには何度か参加したけれど、どの業種にも興味を惹かれることはなく、やりたいと思える仕事に出会うことはなかった。


そんな私に『当社の弱みをどう認識しているか?』『この会社に入社した時、十年後の目標を具体的にどうぞ』なんて言われても困る。


『これまでに最も苦労した経験と、それをどのように解決したか』と聞かれた時、『今まさに最も苦労しているので、御社が内定をくれたら解決します』とでも答えたら内定をくれるだろうか、と考えてしまったほど途方に暮れていた。


哀れみでもなんでもいいから、とにかく一社でも内定がほしい。