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翌日、お互いの講義が終わってから、郁也はさっそく私を連れて、軽音サークルが使っている講義室へと歩き始めた。


今日は無言ではなく、何度も後ろを振り返りながら、楽しそうにたくさん話しかけてくれる。


もしかしたら郁也も、私と同じで緊張していたのかもしれない。まあ、そういうタイプにはあまり見えないけれど。


こんなに喜んでくれるなら、もっと早く頷いてあげたらよかったな、と罪悪感が膨らんでしまう。


でも郁也の説明が足りなかったせいもあるわけで、謝るのは癪だから、胸の内を明かさないまま郁也の一歩後ろを歩いていた。


キツい言い方で断り続けてしまった分、頑張って期待に応えねば、と。


「動画ってすぐに撮るの?」


「練習してからに決まってるだろ」


決まってるんだ。なにも説明を受けていないのに、そんな当然のように言われても。


歌に関してあれだけ褒められたことに少なからず浮かれていた私は、まさか練習から始めるなんて予想もしていなくて。すぐに一曲分を撮って終わりだと思っていたのは甘かったようだ。


郁也は今日も私が室内に入ったことを確認してから、ドアノブから手を離した。