篠突く雨が窓を打ち鳴らす昼時。

 柴樹から『話がある』と言われて来てみれば、そこにはなぜか、柴樹の幼馴染であるあの小娘の姿もあった。

────なんでコイツが。

 そう思ったんは小娘の方も同じようで、横目にオレのことを見たかと思えば馬鹿にしたように舌を突き出した。

 こんの、クソガキめ……っ! 初対面の時のしおらしさが嘘みたいやわ! 腹立つ……けど、だからと言って手を上げるようなことはせぇへん。

 その場で拳を握り、精一杯の威圧を飛ばすことしかできずにいると柴樹が困ったように話し出した。




「今日はわざわざ2人を呼び出してごめんね」

「オレは坊の呼び出しやしかまへんけど」

「柴樹の頼みだもん、やなことないよ」




 そう本音を言えば柴樹は「ありがとう」と一言置いて要件を話し出す。




「雨香麗の件なんだけど、昨日瑮花が〝紅苑(くおん) 雨香麗は名門女学園聖皇峯(せいこうほう)の理事長の娘〟っていう情報を仕入れてくれたんだ」




 柴樹が「ね、瑮花」と話を振れば小娘も頷き口を開いた。




神社(うち)に来てた学生に話を聞いたら、その聖皇峯(せいこうほう)の子達で」




 そうか、コイツの神社は縁結びの神、吏郷(りごう)吏華山(りかざん)が祀られてはる。せやから、学生とか若いヤツらぎょうさん来んねや。
 その反面、オレ自身は協力する言うて、まだ有力な情報らしいもんはなんも得られてへん。




「そこで2人に、聖皇峯(せいこうほう)へ赴いてもらって、もっと有力な情報を得て来て欲しいんだ」

「はぁ!?」

「嘘でしょ、こいつと!?」