次の日の朝を迎えた。


渚は映画の中で紫音の恋人役になり、一緒にいる時間が増えた。


教室で話すシーン。


「今日は宿題多いなぁ。紫音の仕事の邪魔にならないなら、放課後に残って一緒に宿題しちゃいます?」


「夜にはレコーディングがあるから、それまでね?」


「はいっ!!」


お弁当を食べるシーン。


「おーい。渚~っ。一緒にご飯食べよ?」


「はいっ!!天気もいいし屋上で食べます?」


「じゃあそうしよっか」


撮影をしていても、紫音と目を合わせて話すと、渚は緊張と嬉しさが入り乱れたような、ニヤニヤとした笑みが溢れてしまう。


こういうのが幸せっていうんだろうね?


一緒にいるだけで楽しいっ!!


撮影の順番待ちをしていた渚は、浮かれたまま、教室の隅で台本を読んでいると紫音が近付いてくる。


「渚。一緒に台本を読み合わせしよ?」


「はいっ!!」


次の撮影は手を繋いで廊下から、校門へと歩いていくシーンの台本を、二人で読んでいた。


「こうして、手を繋いで帰るのって、女の子の憧れですよね~」


「へぇ。そっかー。
前に本で読んだんだけど、手を繋ぐと、好きって気持ちが手から伝わるんだって」


「私の手から、紫音が好きって気持ち、伝わってます?」


「うん。伝わってるよ?」


「えへへ…」


こんな台詞を読み進めていると、渚の声が詰まった。


「えっ……」


こんなシーンがあるんだ?


台本の続きに衝撃を受けてしまう渚。