次の日。


今日の撮影するシーンは花火大会。


撮影の為に、バスに乗って山から降りる予定だ。


渚は衣装の浴衣に着替えて、涼が来るのをホテルのロビーで待っていた。


「遅いなぁ……これじゃ学校の時と変わんないじゃん……」


撮影前に自由時間があり、花火大会の為に出している露店で、遊んでもいいことになっている。


渚は涼が来るまで、紫音との縁日を妄想の中で楽しんでいた。


紫音と一緒にかき氷とか、とうもろこし……


それから金魚すくいっ!!


それから浴衣姿が可愛いね?って言ってくれるんだろうなぁ……


お世辞でも嬉しいんだよ。


ホント。


涼は口が避けても、言わないだろうけどね……


そんな妄想を描いていた渚だったが、まだまだ天のような存在の紫音より、やっぱり身近な涼と、一緒に露店巡りをしようと思っていた。


「それでも私は、今年も涼と縁日に行くんだけどね?」


小さく呟いていた渚は楽しそうに笑いながら、涼を待っていた。


照れ隠しで何か意地悪な事を言ってくるんだろうね……?


でも涼の顔は笑ってて、嬉しいって思ってるの、私は知ってるんだよ~?


幼馴染みだからこそ、言わなくても伝わる気持ちや仕草があるもの。