「はい。じゃあ一年B組の出しものは、お化け屋敷に決定しました」



文化祭実行委員の男子が異様にやる気のない声で、黒板に書かれた文字の上に丸をつけた。


視線を窓の外に向けると、日差しの弱まった高い空が広がっていた。ぼんやりと青が透けるくらいに薄い雲が、気だるげに空を漂っている。


渚に無意味な八つ当たりをしたのが、確か二週間前のこと。



何日経っても罪悪感が風化することはなく、今も濁流のように私を呑み込もうとしてくる。


しかもなんの天罰か、宮野さんにも距離を置かれているような気がする。


渚の方は自業自得だとわかっているけれど、宮野さんに関しては全く原因はわからない。

話しかけたら普通に返事はしてくれるので、ただの思い過ごしかもしれないけれど。


そんな最悪のスタートを切った文化祭準備期間で、私は衣装係に任命された。


メンバーは私の他に、宮野さんと手芸部の女の子が二人。


衣装なんてその辺で適当に買えばいいのにと腑に落ちない部分はあったものの、裁縫はそれなりに好きだし、真っ白な衣装を血糊で汚す作業は結構楽しかった。