「はいっ、はいっ!こちらこそよろしくお願いしますっ!では失礼します!」



面接から1週間。


“株式会社ヨククル”と登録した番号からきた面接結果は───採用。

寮のパンフレット&入社書類は後日郵送してくれるとのこと。



「先生っ!採用したよ!前に教えた会社の事務職!」


『まじか!これで天城は一安心だな!頑張れよOLさん!』


「うんっ!じゃあ夏休み明け、また詳しく話しますっ!!」



例のちょっと古びたビルの埃っぽい会社が私の卒業後のお勤め先となった。

夏休みに中に就職が決まった場合、かなりラッキーだという。


何せそれ以降だと、前期受験に落ちて就職に変えた生徒たちも少なくないから選ぶ会社もその分減ってしまうらしく…。



「おめでとうございますお嬢っ!!」


「ありがとう俊吾っ!」


「お嬢もとうとう社会人…!立派になられて…!!」



いや泣いてる…!?
そんな喜んでくれてる…!?

確かにここで暮らすようになって2年経った
けど……。

まるで18年間をずっと見てきたかのような反応は大袈裟すぎじゃないの…。



「お嬢が毎日頑張ってる姿はオレがいつも見てましたから…!
寮に行ってもたまには帰ってきてくださいね…!」


「…うん。ありがとう俊吾」



……まだ来年の4月からだから半年以上はあるけど。

でも自分のことのように喜んでくれる俊吾は、やっぱり絃織が付き人にした理由が良く分かる。



「絃ちゃんおめでとう。内定祝いに俺が何か奢ってあげるよ」


「えっ、ほんとに!?」


「うん。食べたいものとか欲しいものとかあれば」