今日は、陽と二人でデートの日だ。人生で一番この日が幸せな気がする。

テクテクと歩きながら、一人で陽の塾へ向かっていた。
理由は、陽は今日塾があるみたいだから、終わった後俺が迎えに行く。そんで、陽の家に一回寄って荷物を降ろしてから、一緒に出掛ける予定なんだ。

あ~、楽しみだなぁ。


「あっ、しゅうくんいた!」


タタタっと陽が駆け寄ってくる。


「家までは、涼風くんも一緒にいい?」


!?あいつも一緒か、、、。まぁ、しょうがない。


「もちろん、いいよ。」

「ありがとう!」


陽が涼風を手招きした。

そこからは、三人で普通の会話をしながら陽の家に向かった。
この間は、涼風がめっちゃ攻めてきたから大変だったけど、今回はそんなこと一切してこなかった。

「あっ、着いた!しゅうくん、ちょっと待っててね。涼風くんは、バイバイ。また今度~。」


そう言って、陽は家の中に入っていった。


「なぁ、涼風一つだけ聞いていいか?」


俺は涼風に聞いた。


「なに?」

「お前こないだと、雰囲気めっちゃ違った気がするんだけど、、、。」


さっき俺は不思議に思ったのだ。あまりにも、普通過ぎて、違和感を覚えたのだった。


「あぁ、それは、この間家に帰ってから考え直したんだ。僕は陽ちゃんのことが好きだ。でもそのことを伝えたところで、普段の会話からも、君のことを好きなのがよく伝わってくる。だから、陽ちゃんを困らせちゃうだけだと思ったんだ。女の子を困らせることだけは、紳士がしてはいけないことだから。」


そんなところにまで、紳士の考えを捨てないのか。でも確かに、俺が告白した時、陽に彼氏がいたら、俺も涼風と同じことをしていたかもしれない。


「だけど、何もしないっていうのは嫌だったんだ。だから、ホワイトデーのお返しに花束を贈ったんだよ。白いストックと、ライラック。花言葉は、”ひそかな愛”と、”大切な友達”。気づいてもらえないとは思うけど、これで僕は満足だよ。僕の分まで、陽ちゃんのこと大切にしてね。それじゃあ。」


少し悲しげにも見えたが一気に言って、最後は笑って、涼風は帰って行った。


「ぜってー、陽のこと大切にするから!」


もう聞こえないかもしれないけど、俺は涼風の背中に向かって叫んだ。すると、涼風が右腕を挙げて、手を振った。聞こえた証拠だろう。
 陽のことを、ずっとずっと大切にしていく。そうその時、心の中で俺は誓った。