ーこれから、朝日高校の体育祭をはじめます。

放送部のアナウンスが聞こえる。

ついに今日は、待ちに待った体育祭の日だ。
なんて言ったって、俺がまだ輝くことのできる場所はここだからな。桐生に少しでもカッコいいところを見せたくて、相当練習も張り切っていた。

俺は色んな種目に出る。やっぱり一番の目玉は、リレーだと思うが、借り物競争だって負けちゃいない。蒼が考えてくれたこともあり、一番力を入れていた競技だった。とすると、やっぱりここが一番の見せ所なんじゃないかと、俺は勝手に思っている。


それからどんどん競技は進んでいった。定番の徒競走などを終えて、玉入れや大繩などなど。

そして、ついに借り物競争の時が来た。いや、違うな。ついに借り物&借り人競争の時が来た。蒼が体育祭の練習が始まる前から言っていた。面白いのができたから、楽しみにしといてって。


ーそれではみなさん、入場です!


BGMが流れた。これ、蒼が一番元気が出るんだって、しょっちゅう言ってる曲じゃん。相当お気に入りなんだろうな。

それから俺は、他の選手と共に、意気揚々と入場した。


ールール説明です。今回、皆さんには事前に伝えてなかったものもあるのでしっかり聞いてください。まずは、お題の札に書かれている物、もしくは人を連れてきてください。また、物を貸してくれた人もゴールまで連れてきてください。


会場がざわざわっとする。物を貸してくれた人もつれてくるなんて、聞かされてないからだ。本当に事前に伝えられていなかったルールもあるみたいだな。

放送部がルール説明を続ける。


ーゴール前の審判二人が判定します。OKだったら、そのままゴール、だめだったらやり直しです。あとそれから、借りる人を連れてくるとき、もしくは物を貸してくれた人を連れてくるとき、必ず手をつないできてください。以上です。


はっ!?そんなのきいてないし!!


「やったぜ、女子と手をつなげるチャンスじゃんか!!」


と叫んでいる、のんきな男子もいるがそんなことより驚きの方がずっとずっと大きい。

そういえば、蒼が当日サプライズもあるよって言ってたけど、これのことか!?こりゃまいったな。

でも、俺たちにそんなことを考えている余裕なんてない。競技はどんどんスタートする。全部で3回、1年から3年までごっちゃになってやるのだが、俺は第二走者だ。