で、ながーい、長い夏休みが明け、二学期になり、体育祭の実行委員を決める時期になりました~。

と、いうわけで今に至ります(少し長くなっちゃった)。

だから、私は驚く”フリ”をしているわけ。
本当は私が実行委員立候補しても良かったんだけど、一ノ瀬が自分からやりたいって言ったから。あいつがそんなこと言うのはめったにないから、やらせてあげようと思ったんだ。

くるっと周りを見回すと、他に二人、手を挙げて立候補している子がいた。
あちゃー、大丈夫かな。この枠は一つしかないから一ノ瀬が実行委員になる確率は3分の1。ここでなれなかったら計画が始まらない。

ドキドキしていると、横からこんな声が聞こえた。


「私、やっぱり辞退します。一ノ瀬くんの方がいい体育祭作ってくれそうなので。」

「俺もです。」


手を挙げていた二人が辞退した。まぁ、確かに一ノ瀬よりも、うまくやります!なんて、私だったら言えないなぁ~。なんていったって、一ノ瀬はこの学校の、アイドルみたいなもんですから。

なので、結果、一ノ瀬が実行委員になった。おー、満場一致じゃん。

ちなみに体育祭の実行委員は、一年生と二年生がクラスで一人づつ選ばれてやることになっている。


「頑張ります!」


ペコっと一ノ瀬がお辞儀をした。
頼むよ、一番重要だから、この作戦の中で。

そんなこんなで、第一関門はクリアできた。次は、借り物競争を借り物&借り人競争にしてもらわないと。まだまだ試練はたくさん残っている。それに作戦通りいったとしても、如月告らないかもしれないしなぁー。ていうかそれ以前に、如月が”好きな人”と書いてある札を取るかわかんないし。まだまだ道のりは長いな。

放課後、部活が終わって一ノ瀬を呼び寄せる。私はサッカー部のマネージャーなので、すこしくらい隅で話していても、怪しまれないのだ。
本当はメールでやればいいのだが、今日すれ違いざまに


「成功したよ。」


と、だけ言われたのだ。こんなふうに言われたら、逆に聞きたくなっちゃうじゃん!安心はしたけど、どこまで作戦がうまくいったのかとか。しかも私、こういうの気になっちゃって、待てないタイプなんだよ。成功したよ、なんて言われなかったら、今日は進展なかったんだ~、で終わりにできたのに!

あ、女子たちに、一ノ瀬は何で私とだけ、ちゃんと話すのか、って怪しまれないかって(一ノ瀬は適当な相槌しかうったことないので)?それは大丈夫。この間、大量に押しかけてくる女子のに向かって、用がないなら話しかけるな、とバッサリ。俺は君たちと話したところでメリットはない、だってさ。