「はい、俺、体育祭の実行委員やりたいです!」


えー!?あの一ノ瀬が立候補!?、とみんなが驚愕する。

そう、あのできるだけそういう”めんどくさいのやりたくないです”主義の一ノ瀬が実行委員や代表委員をやるなんてことは、少なくとも高校に入ってからは一度も聞いたことはなかった。中学からの仲の如月と佐伯がビビっているところから見て、中学時代もやっていなかったことが分かる。

私もみんなと同じようにビックリしている、、、ふりをする。なぜわたしが”フリ”をしているのか。それはさかのぼること、約一か月前のこと。

勉強会が終わった後私は一人、家ではしゃいでいた。如月と陽の距離を縮めよう作戦がうまくいったからだ。

それにしても、一番初めのあそこで、二人に連絡先交換させられたのはナイスアイディアだったと我ながら思う。

また、一ノ瀬にお菓子の中身を空っぽにさせておいてと送られてきた理由が、二人でお菓子を”作らせるから”というのには、とても驚いた。料理が得意という如月のことをよく知っている、一ノ瀬しか思いつかない作戦だったので、一ノ瀬を誘ってよかったなと今でも思っている。

ただ一ノ瀬が攻めて華と佐伯に、俺、美味しいお菓子知ってるからそこあるところまでいかない?とか言って、スーパーまで行き(本当にそのお菓子は美味しかったが)、如月と陽が二人きりになれる時間をいきなり(←むりやり?)伸ばしてきたときは本当にびっくりした。何の前触れもなかったからね。


で、その勉強会の次の日。一ノ瀬から連絡が来ていた。

【いい作戦を思いついたから時間があるときゆっくりメールします。】

というのが、届いていたのだ。
おー、すごいねやっぱり。なんか、超厳密さな作戦とか立ててそうだな。

【ありがと、楽しみにしておくね!!】

これでよし、と。作戦が送られてくるの、楽しみだな~。



それから数日後。塾から帰ってきたとき、ふとスマホを見てみると、一ノ瀬から連絡が来ていた。内容は、、、あの二人の作戦のことだった。

それから私たちはしばらくやり取りをして、完璧な作戦が立てられた。
最終的に決まったのは、こんな感じ。

1.どっちかが10月の体育祭の実行委員に立候補する。
2.毎年恒例の借り物競争を借り”人”競争にもする。
3.そこのお題に「好きな人」を入れ、如月にひかせるようにする。
4.そのまま勇気を出して如月がこくってくれたらいいなぁ~、みたいな。