「え~、そんなの無理だよ、無理無理!」


朱里から唐突に、如月くんたちと勉強会をしたいと言われて、私から如月くんに頼んでみてと言われたところだったのだ。


「一生のお願いっ!華とか、陽でもいいんだけど、なんとなく(?)男子目線で教えてもらうのもいいかなぁーって。あっ、あと流れで如月と連絡先交換してきちゃったら?それに夏休み中にも会える、って思ったらね!お願いっ!」


こんな風に言われちゃうと、断れないなぁ。朱里の言う通り、如月くんと繋がれるって思えば、、、でも無理!そんなこと如月くんにお願いできない~。

それに、夏休み前の今、女子が寄ってたかって三人と一緒に、遊ぼうってお願いしてるところだから、、、。あの輪に入っていける自信はないし、そういうの全部断ってるみたいだし。

そんな感じで朱里にも言ったら、


「陽は学級委員を如月と一緒にやってるんだから、そういう”断る”対象には入ってないんじゃない?ね、試しに聞くだけ聞いてみてよ、私達もギリギリまでついてくし」


と言われてしまった。おまけに華まで


「如月くんと学校以外でつながれるいい機会じゃない?頑張って、行ってきなよ!」


って言ってきて、、、。

もうここまでお願いされたらやるっきゃない!やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいしね。よっしゃ、頑張るぞ!(腹をくくると、人一倍やる気になる人です、私。)

と、言ったはいいものの、やっぱり目の前にいると、お願いするのは勇気が必要だ。

いま私達は放課後の誰もいない教室にいる。

私達、というのは如月くんも一緒にいるからである。今日たまたま学級委員の会議があったのだ。ちらっと後ろを見るとドアの影からガンバレ、とガッツポーズをしている華と朱里が見える。


「どしたの?」


如月くんが聞いてきた。


「さっきから何か言いたそうにしてるけど」


やっぱり如月くんには私の考えは、お見通しだ。

私は持っている限りの勇気を使って聞いてみる。


「あ、あのね、嫌だったらいいんだけど、朱里が如月くん達に勉強教えてほしいみたいで、もしよかったら6人で夏休み中に勉強会しない?」

「いいよ。」


即答だった。あ、でも一ノ瀬くんと佐伯くんにも聞いてみないとだよね。



「蒼と優斗には俺から言っとくから。絶対平気。」


私の考えを読み取ったかのように如月くんがそう言った。


「ありがとう!そうだ、あのさ、れ、連絡先交換しないっ?そしたらそこで、詳しい日程決められるからさ。」