「花恋、行くわよ~!」

「はーい!」



迎えにきてくれた“元”所属事務所の社長に呼ばれ、車に乗る。

後部座席には、マネージャーだった高御堂が座っていた。

薄紫色のストレートな髪と同じ色の瞳が、私を見ている。切れ長の目は、よく機嫌が悪いと勘違いされるらしいけど、多分顔が整っているのもきつく見える原因だと思う。

本当は、すごく優しくて頼りになる人だけど。



「高御堂も来てくれたの!」

「ふたりじゃ荷ほどき間に合わないだろ」

「ありがとうっ……!」



お礼を言って、高御堂の隣に座る。



「花恋、忘れ物ないわね?」

「うん!」

「じゃあ行くわよ」



そう言って、車を発進させた社長。


これから……私の、新しい生活が始まる。