生徒会室を追い出され、私はとぼとぼと歩いていた。
今日は、帰ろう……。
さっき、正道くんに言われた言葉が、何度も脳裏にこだましている。
『出ていけ。生徒会に、お前のような地味な女は必要ない』
正道くん……。
あんなことを、言う人じゃなかったのに……。
『僕はいつだってカレンを応援してるよ。だって……カレンのことが誰よりも好きだから』
正道くんはいつだって、私を励ましてくれる、優しさに溢れた人だった。
……いや、違うの、かな。
私は正道くんのこと、何も知らない。
アイドルの私に会いにきてくれていた正道くんしか、知らないんだ。
だから……今日見た正道くんが、本当の正道くんってこと……?
あんな冷たい目で、人に暴言を吐く人だなんて、信じたくはない。
アイドル活動をしていた時、私は何度も正道くんの存在に救われたから。
最後の握手会に来てくれなかったのは……やっぱり、もう私のことが嫌いになったからなのかな。
飽きられちゃったとか、そういう問題じゃなくて……。