そして次の日曜日。

 私と八乙女くんはオシャレなパンケーキ屋さんに来ていた。

 もちろん乙女チック同盟としてじゃなく、カップルとして。

「わあ、美味しそう!」

 私が可愛いストロベリーミルクパンケーキにウットリとしていると、八乙女がクスリと笑う。

「な、何!?」

「……いや、可愛いなって思って」

 ニヤリと笑って放たれたその言葉に、顔から火が出そうになる。

「も、もう、何言ってるの! 八乙女くんってば!」

 フォークの先でいちごをちょんと弄っていると、横を通った女性客の声が聞こえた。

「ねぇ、あれ『ドリーム』の服じゃない?」
「本当だ、可愛い~!」

 『ドリーム』というのは、新しく夢さんが手がけたブランド。

 乙女チックでの甘いんだけど、カジュアルに着られるガーリーな服なのが特徴なの。

「だってさ、良かったね。モデルさん」

「……やめてよ、もう」

 八乙女くんは微笑んで、『ドリーム』のホームページを開く。

「何で? 可愛いじゃん」

 指さした先にいたのは、白いレースのワンピースを身にまとった女の子。

 ――お化粧とウイッグで別人みたいになったけど、実はこれ、私なんだ。

 私、なんと『ドリーム』の公式モデルとしてデビューしちゃったの。

 私はズズッとアイスティーを飲み干した。

「もう、上手いんだから」

「いやいや、本当に可愛いよ」

 私を見つめてニコニコ微笑み続ける八乙女くん。

「……な、なんか、八乙女くんってば付き合い出したとたん、甘々になってない?」

 まあ、そんな八乙女くんのおかげで、少しは自分に自信もついたんだけどね。