「いやー、バレー惜しかったな!」
「ねー、でも準優勝でも凄いよね!」
「女子は優勝だし、クラス別順位、結構良い所につけてるんじゃねーの?」

 バレーボールの試合が終わり、八乙女くんたち男子がゾロゾロと体育館から出てくる。

 結局、うちのクラスの男子バレーは準優勝という結果。

 だけど、クラス別の総合順位を見てみると、うちのクラスは三年C組に継いで二位につけてる。

 ラストのリレーで一位になれば、体育祭の総合優勝も狙えるかもしれないってことで、クラスメイトたちは盛り上がってる

 ちなみに、うちのクラスはトップバッターが恭介くんで、アンカーが八乙女くん。

 八乙女くん、アンカーだなんてすごいな。運動神経良いもんね。

 でも責任重大で大変そう。大丈夫かな。

「あ」

 私がじっと見つめていたのがバレたのか、八乙女くんがこっちに走ってくる。

「若菜さん、頭は大丈夫?」

「う、うん。大丈夫」

 どうしよう、まともに八乙女くんの顔が見れない。

「――あのさ」

「あ、あのねっ」

 何か言おうとした八乙女くん。
 きっと保健室で話してた告白についてのことに違いない。

 そう思った私は咄嗟に言葉をかぶせた。

「バレーの試合、最後の決勝だけだったけど、見たよ。八乙女くん、すごくカッコ良かった!」

 八乙女くんはキョトンと目を見開いたあと、頬をポリポリかきながら笑った。

「……ありがとう。負けちゃったけどね」

「何言ってるの。準優勝でもすごいよ!」

「うん」

 八乙女くんは下を向き、少しの間何かを考えた後、顔を上げて私をじっと見すえた。

「でも、リレーでは絶対優勝する。優勝して――」

「おーい、八乙女、出番だぞ!」

 遠くから男子に呼ばれ、八乙女くんは振り返る。

「ごめん、それじゃ、俺、行くから」

「うん、頑張って」

 私は笑顔で八乙女くんを見送ったあと、じっとグラウンドの土を見つめた。

 ……優勝して、それから八乙女くんはどうするんだろう。

 やっぱり、告白するのかな。

 ギュッと胸が張り裂けそうに痛い。

 八乙女くんを応援するって決めたのに、せつなさで胸が破裂しそうだよ。