借り物競争は、お題に書かれたものを持ってきて先にゴールした人が勝ちというシンプルなルール。

 これなら、足の速くない私にも勝ち目があるかなって思って選んだんだけど――。

「うう……お腹痛い」

 緊張で胃がキリキリする。

「大丈夫? もうすぐ女子の出番だけど」

 よっぽど青い顔をしてたのかな、サエちゃんが気を使って話しかけてくれる。

「早く終わらせてのんびり男子の応援でもしましょ」

「そ、そうだね」

 そうだ。これが終われば、私の出番は二人三脚と借り物競争だけだから、あとは自由。

 今だけ頑張ればいいんだ!

 そう自分で自分を納得させ、スタート地点につく。

「位置について、よーい」

 パン、と音が鳴って、みんな先生が持ったお題箱のところへ走り出す。

「ヤカン! ヤカンはどこ!?」

「誰か、タオル持ってる人ー!」

 お題を引いた人が観客席に次々と呼びかけ、借り物をゲットしていく。

 ひゃあっ! 私も早くお題引かなきゃ!

 案の定、ビリになってしまった私は、一人泣きたい気持ちになりながら箱からお題を引いた。

 大丈夫。簡単なお題だったら、ここから挽回できる。

 ドキドキしながら四つ折りの紙を開くと、そこには――。