私がとつぜんクラスの女子に声をかけられたのは、それから数日後のことだ。

「ねぇねぇ、若菜さん、八乙女くんと付き合ってるっていうウワサが立ってるけど本当?」

「えっ?」

 声をかけてきたのは、テニス部の女子。同じクラスだけど、ちょっと派手だし、あんまり話したことは無い子だ。

「う……ううん、違うよ! そんなわけないじゃない」

 私が慌てて否定すると、二人はホッとしたような顔を見せた。

「そうだよねー、変なこと聞いてごめん」
「でも気をつけた方がいいよ、ウワサになってるから」

「そう……なの?」

 私がキョトンとしていると、二人の女子は顔を見合せ、声を低くした。

「うん。結構広まってるよ」
「八乙女くん、熱狂的なファンも多いから気をつけたほうがいいよ」
「そうそう。バスケ部のマネージャーとか、女子バスケ部の子とか、結構怖いし」

 私は練習試合の時のバスケ部のマネージャーの姿を思い出した。

 あの時、にらまれたのってやっぱりそういう事なの……!?