「ねぇねぇ、若菜さんは、このクラスで一番カッコイイのは誰だと思う?」

 放課後、帰る準備をしていると、近くの席の女子がゾロゾロとやってきて声をかけてきた。

 どうやら女子みんなにアンケートをしているみたいなんだけど――。

「えっ、えっと……」

 困ったな。そんなこと急に言われても答えようがないよ。

 なぜって?

 それは私がクラスの男子にこれっぽっちも興味がないから!

 私、若菜(わかな)かなでは、花の高校二年生。もちろん恋愛に全く興味が無いわけじゃない。

 むしろ、そろそろ白馬に乗ったカッコイイ王子様と素敵な恋愛をしてみたいなぁって密かに思ってる。

 だけど、しょせん現実の男子は、漫画や少女小説の中に出てくる王子様には敵わない。

 下品でズボラで汚くて――空想の世界のカッコイイ男の子たちとは全然違うんだもん。

 私は小学生の頃のことを思い出した。

 虫が大キライな私に、カエルやバッタを見せてきたり、お気に入りの洋服に土や泥を投げたり。

 とにかく男子は野蛮で最低。

 さすがに今は小学生の時みたいに虫や泥で遊ぶ男子はいないけど、代わりに下ネタとか、どの女の子がいいとかそんな話をするのを聞いちゃったりして――あー、やだやだ。鳥肌が立っちゃう!