美術室を飛び出したあたしたちは、近くのトイレにかけこみ個室に入ってカギをかけた。


殺人鬼は探すことが苦手だから、ここにいればひとまずやり過ごすことができそうだ。


「このままじゃ外にも出られないな。なにか武器を探さないと」


スマホを操作していた純也が言った。


「窓から出るんじゃなかったの?」


「そう思ったんだけど、これ」


スマホ画面を見せられてあたしは目を見開いた。


それは学校の外を移した監視カメラ映像だった。


「これって確か学校のホームページから見られるライブカメラだっけ?」


生徒や職員だけに閲覧パスワードが配られたことがある。


純也はそれを表示しているようだ。


そしてそこに移っているのは外を徘徊する殺人鬼たちだったのだ。


普通の人とは違い、左右に体を揺らしながら歩くその姿は間違いなかった。


通行人を見つけた彼らは一瞬にして走りだす。


歩いてきたスーツ姿の男性は鞄を放り投げて逃げ出した。


しかし、殺人鬼のほうが一足早かった。


後ろからスーツを掴まれて男性は転倒し、殺人鬼たちに取り囲まれてしまったのだ。


あとの光景はとても見ていられるものじゃなかった。