廊下で起こっていることを確認した純也はすぐに窓を閉めて、鍵をかけた。


他の窓も鍵がかかっていることを確認していく。


雪と香は教室の隅で寄り添って泣いていた。


「こんなのひどいよ……」


今見た光景が脳裏から離れない。


あんな殺され方をするくらいなら、自分から死んだほうがずっと楽だったろう。


「大丈夫か?」


純也に抱きしめられて、初めて自分が泣いていることに気がついた。


頬に伝った涙が純也の制服をぬらしていく。


しばらく純也に抱きしめられて背中をさすられていることで、どうにか発狂せずにすんだ。


「窓から逃げられないかな?」


そう言ったのは香だった。


しっかりしなきゃいけないと思っているのか、グイッと力強く涙をぬぐって外側の窓へ近づいた。


ここは1階だし、逃げることは十分可能だと思う。


だけど外に出て安全かどうかはわからなかった。


「外にもいる」


少しだけカーテンをあけて外を確認した香が悲痛な声で言った。


あたしも同じようにして確認してみると、確かに外にも灰色の目をした生徒たちの姿があった。


これじゃどこにいても結果は同じだ。


大きく息を吐き出してその場に座り込んだ。


全身の力が抜けていくような感覚がする。